個人事業主の国民健康保険(国保)は、前年の所得が高いほど高くなります。会社員のように会社が半分払ってくれることもないため、独立後に「思ったより高い」と感じる人が多い支出です。まず利益別の目安を早見表で確認し、そのうえで国保を安くする方法を整理します。
国保はいくら?利益別の早見表
年間の事業利益(青色申告65万円控除後の所得)ごとの、国民健康保険料の目安です。東京特別区・単身・令和8年度の概算で、40歳未満と40〜64歳(介護分を含む)で分けています。
| 年間の事業利益 | 国保(40歳未満) | 国保(40〜64歳) |
|---|---|---|
| 200万円 | ¥164,409 | ¥204,565 |
| 400万円 | ¥376,009 | ¥464,765 |
| 600万円 | ¥587,609 | ¥724,965 |
| 800万円 | ¥799,209 | ¥969,209 |
40〜64歳は介護保険分が上乗せされるぶん高くなります。なお国保には賦課限度額(上限)があり、所得が一定を超えると頭打ちになります。
なぜ高い?国保の決まり方
国保は、前年の所得に応じた「所得割」と、加入者一人ずつにかかる「均等割」などを合計して決まります。市区町村ごとに料率が異なり、毎年見直されます。所得控除のうち、社会保険料控除やiDeCo・小規模企業共済の掛金控除は国保の計算には反映されない(差し引けない)ため、これらでは国保は下がりません。国保を下げるには、所得(事業所得)そのものを下げるか、加入する制度を変える必要があります。
国保を安くする5つの方法
- ① 青色申告(65万円控除):青色申告特別控除は事業所得そのものを下げるため、所得税・住民税だけでなく国保も下がります。白色から青色に変えるだけで効果があります。青色と白色の違いも参考に。
- ② 経費をもれなく計上:事業に必要な支出を正しく経費にすると事業所得が下がり、国保も下がります。
- ③ 国民健康保険組合に加入(業種による):デザイナー・イラストレーター・文筆業など特定の業種は、所得に関係なく定額の「文芸美術国民健康保険組合」などに加入できる場合があります。令和8年度は組合員1人あたり月26,000円(医療+後期高齢者支援分。別途、子ども・子育て支援金600円、40〜64歳は介護分6,100円)。所得が高い人は、市区町村の国保よりずっと安くなることがあります(加盟団体への所属など条件あり)。
- ④ マイクロ法人を作る:法人を作って役員になると、国保ではなく報酬連動の「健康保険」に切り替わります。役員報酬を抑えれば、社会保険料を大きく下げられます。法人化シミュレーターで比較できます。
- ⑤(退職直後のみ)会社都合なら軽減:会社都合(倒産・解雇・雇い止め)で退職して開業した場合、一定期間は前年の給与所得を3割とみなして国保が軽減されます。退職後の健康保険も参考に。
つまり:iDeCoや共済では国保は下がりません。国保を下げる王道は「所得を下げる(青色・経費)」か「加入先を変える(国保組合・法人化)」です。所得が大きい人ほど、定額の国保組合や法人化の効果が大きくなります。
まとめ
- 国保は前年の所得で決まり、東京・青色65万控除後・40歳未満で、利益600万円なら年約59万円、800万円なら約80万円が目安。
- iDeCo・小規模企業共済の控除では国保は下がらない。
- 安くする方法は、青色申告・経費計上・国保組合(定額)・マイクロ法人化・(退職直後の)会社都合軽減。
- 所得が大きいほど、定額の国保組合や法人化の効果が大きい。
法人化で国保がどれだけ変わるかは、法人化シミュレーターで個人と法人の手取り・社会保険料を比較して確かめてみてください。